陶器ができるまで
三寿の陶器は窯元・久川 創が土の選定・釉薬の調合・焼きなどすべての工程を手作りで行っています。
粘土
信楽粘土を取り寄せています。作るものや釉薬に合わせて白土、赤土、黒土を混ぜ合わせて使っています。
成形
主にロクロ成型ですが、石膏型を使うこともあります。作りたい物をイメージし、口径と深さの寸法を測る「トンボ」という道具を作り、形に合わせて木ゴテ(粘土に押し当てて形を揃える道具)を作ることもあります。
この二つの道具を使うことで同じ形のものを作りやすくなります。
乾燥と削り仕上げ
ロクロ挽きしたものを2,3日かけてできるだけゆっくり乾かします。
天候や気温、湿度によって布やビニールをかぶせながら均一に乾燥させます。
半乾きになったら高台を削り出します。取手をつける場合は先に取手を作ってから本体を削り、硬さを合わせて取り付けます。
削り終わったら9割方乾燥させ、天日干しで完全乾燥させてから素焼きします。
素焼き
12~15時間かけて850℃まで温度を上げて焼きます。
作品同士の隙間がないと釉薬の発色に影響するガスが抜け切らないのでガス抜きを考えながら窯詰めします。
釉掛け
長石(花崗岩の風化物)、木灰、粘土などを混ぜ合わせた自作の釉薬を使います。
調合は無限にありますが、まずは自分で狙いをつけた色、質感に近づくまでテストを繰り返します。
窯詰めの場所によって温度や焼成雰囲気が違うので、それに応じて釉薬を使い分けています。
温度の上りの悪い場所は間隔を空け、温度の高いところは間隔をあまり空けず詰めていきます。
本焼き
15~17時間かけて1230~1240℃で焼いています。
焼き方は大きく分けて「酸化焼成」と「還元焼成」があります。これは炉内の焼成雰囲気(酸素濃度もしくは二酸化炭素濃度)によって分けられています。
酸化焼成は酸素を供給し続けながら焼く方法で、還元焼成はプロパンガスや薪を燃やして炉内に二酸化炭素を送り、酸欠状態で焼く方法です。
素地や釉薬にはなんらかの金属物質が含まれていますので、炉内が酸欠になってくると素地や釉薬から酸素が奪われ金属物質の発色が変化します。
電気窯の酸化焼成は酸素の出入りがほとんどないことから「中性」とも言われます。
このように炉内の焼成雰囲気の違いで呼び分けてはいますが、一言で酸化や還元といっても多様な雰囲気があります。
三寿では主に還元焼成で焼いています。